変形性膝関節症とは?

膝のクッションとして働いている関節軟骨が様々な原因によりすり減ることで関節内に炎症が
起きたり、関節が変形したりして痛みや腫れを生じる病気です。

病気の初期には、立ち上がりや歩き始めなど動作の開始時に痛みが現れます。

進行すると、階段の昇り降りや正座が困難になり、膝に水がたまり日常生活にも支障を来たす
ようになります。

末期になると、強い痛みで歩くことが困難になり、膝が変形し足が伸びなくなる。疼痛のため
歩かなくなり次第に運動不足から体力が低下して寝たきりになることもあります。

変形性膝関節症は、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の原因となる代表的な病気の
1つとされています。

原因

変形性膝関節症は、明らかな原因がないものが「一次性」、病気やケガなど原因が明らかなものを「二次性」として分けられています。大部分を占めるのは「一次性」です。

変形性膝関節症は、多くの要因が重なって発症する病気で、その発症と進行に関係する危険因子
には様々なものがあります。

原因による分類

「一次性」の変形性膝関節症は、加齢にともに膝の関節軟骨がすり減ることで発症するもので、
肥満などが関係しているとされています。

「二次性」の変形性膝関節症の原因には様々なものがありなかでも外傷が多くを占めています。

「危険因子」変形性膝関節症の発症や進行には、様々な要因が関係しているとされています。

病態・症状

変形性膝関節症では関節軟骨がすり減り、関節の内側を覆う膜(滑膜)に炎症が生じて症状が
現れます。

変形性膝関節症が進行すると、軟骨下骨硬化という関節軟骨の下にある骨が硬くなったり関節の
すきまが狭くなってきたりします。
また、骨棘や骨のう胞という とげ状の骨や骨の空洞がみられ、次第に膝の関節が変形していき
ます。
これらの一度すり減ってなくなった軟骨は、自分の力では元に戻ることはできないのが現状です。

治療方法

従来の一般的な治療は、疼痛緩和のためにヒアルロン酸やステロイドの注射、薬の内服、
リハビリテーションなどの保存療法(手術以外の治療法)があります。
しかし、原因を取り除く根本治療ではないため、症状の進行は止められません。軟骨がすり減り
歩行が困難となれば体への負担が大きい人工関節や骨切り術などの手術を選択しなければならなくなります。

これまで一般的だった治療法

■ヒアルロン酸注射
関節の間にある関節液内のヒアルロン酸が減少すると、骨と軟骨がこすれて痛みを感じます。
そこでヒアルロン酸を補給注入することで、軟骨を保護して痛みを緩和します。
しかしながら、ヒアルロン酸は痛みを軽減する一方で、ヒアルロン酸注射の効果持続期間は、
1〜2週間程度と短く痛みの原因である軟骨のすり減りが改善しているわけではなく、変形の進行を止められません。

■K-L分類

■人工関節
人工関節置換術とは、傷んだ関節を金属やセラミック等による関節面に置き換える手術で、効果は大きいですが手術に伴う合併症(血栓症や感染症など)のリスクがあり長期経過中に摩耗や緩みが生じる可能性があります。加えて関節が曲がりにくくなり、正座や激しい運動、スポーツ復帰が
難しく、また、手術をしたくても年齢の問題や持病のため手術の許可が下りない方々も
いらっしゃいます。

手術(人工関節)を希望されない方の新しい選択として

当院では、従来の保険診療では限界があると考え従来の保存療法や手術(人工関節)ではない、
再生医療に注目し、幹細胞治療やPRP療法を多くの症例に行ってまいりました。
その中で手術を回避でき、日常生活が改善された症例やトップアスリートを含めたスポーツ選手
などには早くから取り入れ復帰を可能にできた注目の治療法です。

変形性膝関節症に対してこのような方が再生医療の適応になります。

再生医療で人工関節を回避できる可能性があります。

幹細胞

幹細胞とは、下記2つの能力を併せ持つ細胞のことで幹細胞を膝関節に注射することで下記の効果を期待できます。

①抗炎症作用
間葉系幹細胞には、抗炎症作用があり、痛みや腫れを抑える効果があります。

②組織の修復促進
幹細胞は、骨・軟骨・脂肪組織や血管などへの分化能力があることがわかりつつあり、関節で
失われた組織の回復が期待できます。
ただし、注入すればそれだけで組織が修復するわけではありません。組織がきちんと形成される
には「その場所を保護する必要性」を体に伝える必要があります。
抗炎症作用によって痛みが軽減されている間にリハビリを行うことで効果的に組織の修復を目指す治療なのです。

また、変形が初期の状態でも、変形が進行する前に予防的に再生医療を受けることで人工関節術
するほどの重症化を防ぐこともできますし体に大きな負担をかけない最新の治療法の一つとして
大変期待されています。

幹細胞治療のメリット

①安全性が高い
ご自身の細胞を使うため、アレルギーや拒絶反応のリスクが低いことが特徴です。

②施術が簡便
当院では安全性が高い脂肪由来の幹細胞を使用しており、お腹の皮下脂肪から採取した細胞を
使用しますので、採取するのに安全性が高く、骨髄や滑膜内臓の幹細胞より体への負担が少ない。

③入院が不要

④手術をしないため、リスクや体への負担が少ない。

当クリニックは、各疾患に対してオーダーメイドの専門的な再生医療を提供する事ができます。

自己脂肪由来幹細胞治療の流れ

下腹部周辺を局所麻酔して1cmほど切開し、脂肪を微量採取します。所要時間は20分ほどで
ほとんど痛みはありません。

CPC(細胞加工室)で培養を行い、約5〜6週間ほどかかります。
培養した幹細胞をひざ関節に注射します。

変形性関節症に再生医療を取り入れると?

私たちの身体の中には、幹細胞という赤血球や皮膚、軟骨など様々な組織の細胞に変化する能力を持つ細胞があり、傷ついて弱った細胞を修復する働きがあります。この幹細胞の自己修復力を
高め、擦り減った軟骨に働きかけて機能を修復することで、本来備わっている身体機能を正常に
戻すというのが変形性関節症における幹細胞治療です。

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