半月板損傷とは?

半月板は、線維性軟骨と呼ばれる軟骨で大腿骨と脛骨の間に内外側に1つずつあり体重が1ケ所に
集中しないように衝撃を吸収・分散するクッションの役割と膝を安定させる役割を担っています。

半月板損傷は、スポーツのケガとしても知られており、スポーツ外傷全体の約15%を占め、
10〜20歳代のスポーツ外傷では膝前十字靱帯損傷に次いで多いとされています。
過去には多くのアスリート達が受傷され手術になり結果的に選手寿命が短くなった例も散見され
ました。

主な原因は?

回旋という、膝を捻る動作の際に大きな外力や衝撃が加わると半月板損傷になりやすく、

大きく分けて
1. 外傷性
2. 変性断裂
の2つが挙げられます。

■外傷性
スポーツや運動時の衝撃などをきっかけに半月板を痛めてしまい、
ジャンプした際の着地の仕方に問題があったり、
サッカーやバスケットボールなどで見られる急な切り返しの動きをしたりしたときに
起きることがよくあります。

また、膝の前十時靱帯や内側側副靭帯の損傷に伴って、半月板も一緒に損傷する場合も
見られます。

■変性断裂
一方「変性断裂」は、加齢によって半月板が傷つきやすくなっているところに、外から力が
加わって損傷してしまうもので、中高年者の方では、激しい動きや力が加わったわけではなく
ちょっとした動作だけでも半月板損傷が生じやすく、具体的には立ち上がり時や無理な態勢で
膝を捻った際に受傷するケースが多くなっています。
若年層での半月板損傷は、本来の三日月状の半月板の形ではなく先天的に満月のような円盤状半月を持つことが原因で起きることが多く子どもが成長するに従って、動きが活発になったり運動量が増えたりすると、半月板の損傷が起きやすくなります。

症状は?

主に見られる症状としては、
① 痛みや水腫と言われる腫れ
② 関節の可動域の制限
③ ロッキング(切断された半月板が膝関節の間にはさまってしまい急に膝が動かなくなる状態)

ロッキングになると激しい痛みとともに膝の曲げ伸ばしができなくなり、歩行が困難になることも多いです。
初期の状態で正しい治療を行わないと、痛みが慢性化して膝に水がたまって腫れる関節水腫が
起きたり、中高年であれば、変形性膝関節症を併発したりする可能性もあります。

対処法は?

半月板は損傷があるからといって、そのすべてが手術の対象となるわけではありません。
まずは、下記の如く保存療法を行います。

(1) 膝に負担をかけないようにサポーターやテーピングなどで可能な範囲で膝の安静を保ちます。

(2) 強い痛みがある場合は痛みや炎症を抑える目的で湿布や塗り薬、飲み薬(消炎鎮痛剤)
を使います。

(3) 関節内に多量に水がたまった場合は苦痛がともなうので、針を刺して内容液を取り除きます
(関節穿刺)。 また、関節の潤滑性を高め、炎症を鎮める効果のある薬剤(ヒアルロン酸)を
関節内に注入します。
半月板の血行が良い部位では、これらの保存療法で症状が良くなるケースもありますが、完全に
治癒しない場合は何らかの違和感や症状が残ります。
残った症状に対してはリハビリや生活指導を受けながらうまく付き合っていくか医師と相談
しながら手術を検討します。

検査方法は?

① 問診で詳しい症状を確認
② 徒手テストという疼痛誘発テストを行う
→膝に特定の動きを与えて反応を見ます。

テストを行い、それらの結果から半月板損傷が疑われる場合は、MRI検査を実施します。
半月板はエックス線検査では写らないため、画像診断にはMRIが有効です。(診断率が90%程度)
この他、状況に応じて、関節の中に内視鏡を入れて調べる関節鏡検査を行う場合もあります。
関節鏡検査は、治療のための手術と同時に行うケースも見られます。

半月板損傷(正面)

半月板損傷(側面)

治療方法

主な治療法について

主な治療法は、先に触れた
1. 保存的治療
2. 外科的治療
の2つがあります。

保存的治療では、症状が改善されなかったり、重症な場合に選択されるのが外科的治療で
関節鏡手術になります。

■手術の内容
①半月板の損傷部位を切り取る切除術
②半月板の損傷部分を糸で縫い合わせる縫合術
の2種類があります。

手術法の選択について

■半月板の周囲
3分の1には血管があり、治癒が期待できるために主に縫合術が選択されます。
しかし、中央の3分の2は血管がなく、一度損傷されると修復しないことから切除術が
行われることが多いです。
また、断裂の形態が、横断裂もしくは水平断裂の場合、切除術が選択されます。

■切除術
損傷した半月板の状態によっては、縫合が難しいと判断された場合は切除術を行います。
切除術の場合、手術により症状が改善されますが、半月板の膝関節への衝撃を吸収し安定性を
保持するという機能が低下するため、隣接する関節軟骨が摩耗して変形性膝関節症へ進行する
割合が高くなります。

気になる術後経過はというと、半月板切除術後10年後の経過を調べてみると約3割の人が
変形性膝関節症となりスポーツ選手となると約7割もの人が変形性膝関節症になっていたという
臨床報告がされています。

■半月板縫合術
それでは、半月板縫合術はどうでしょうか?
4年後縫合された半月板が再断裂する方は約3割いるといわれています。
その場合は、再度手術をして半月板を切除しなければならず、術後のリハビリを加えると早期の
仕事復帰も遅れてしまいます。

必ず手術をしなければならないのか?

実際の診療では、膝の痛みで歩行できなくなったり、ロッキングが起こらない限り手術に至ることは少ないです。
しかしながら、半月板損傷を放置しても元に戻るわけではなく、また日常生活は、問題なく行えて痛みもそれほど気にならないレベルであっても時間の経過とともに損傷部位が拡大し痛みが増強
され数年後には変形性膝関節症に移行してしまいます。
そのため、早期のうちに半月板の損傷を修復した方が望ましいのですが、実際、日常生活に支障がないのに、手術を行うのには抵抗があるかと思います。
そこで、幹細胞による再生医療ならば簡単な注射のみで半月板損傷の拡大が予防できます。

治療の主流は“切除”から“温存”へ 再生医療の提案

切らない半月板損傷の治療法として、幹細胞治療による再生医療があります。

幹細胞治療とは?

自身の脂肪の中にある幹細胞を少量取り出し、それを培養して細胞数を増やした後に関節内に注射で投与する治療のことです。

メリットとして、
(1)日帰りでできる
(2)後遺症が少ない
の2つが挙げられます。
半月板を修復するのに損傷した部位を取り除く必要がなく、リスクが少ないことが特徴です。

このような方が再生医療の適応に

  • 長期間治療しても未だに痛みがあったり、ひざの関節の動きが悪い
  • 関節鏡などの手術を勧められているがどうしても抵抗がある
  • 日常生活に支障がなくても今後の半月板損傷の拡大、悪化を予防したい
  • 早期に痛みを取り、社会復帰やスポーツ復帰をしたい
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