肩腱板損傷

肩の腱板断裂と手術に関して

解剖学的に、肩甲骨関節窩(受け皿)に上腕骨頭がはまり腱板(インナーマッスル)が働き上腕骨が
安定しますが腱板が切れることによって安定性が損なわれ、肩があがらなくなり、痛みの原因と
なります。

原因として

○加齢性の変化で腱板が徐々にすり減り切れる変性断裂
○転倒や重い物を持つことによる肩への負荷で切れてしまう外傷性のもの
○使いすぎ(オーバーユース)
○不良姿勢

が挙げられます。また、オーバーヘッドスポーツによる繰り返す動作の結果や力仕事に長年従事
されてきた方なども腱板損傷を起こしていることがあります。

症状

・肩の運動時痛
・肩の挙げた時や降ろす時の痛みや、ゴリゴリと音がする(軋轢音)
・夜間痛(進行すると夜間に強い痛みを感じ、睡眠不足にもなる可能性があります)

腱板損傷があっても肩は動かせることが多いです。
肩関節周囲炎(50肩)と比べ、関節可動域が狭くなりにくく、筋肉(棘下筋)が痩せて力が入りにくいため、肩が挙げにくいのが特徴です。

診断

・肩の拳上ができるか?
・拘縮(関節の動きが固まる)があるか?
・棘下筋萎縮があるか?
・肩の拳上により軋轢音が肩峰の下であるか?

などがあると、腱板断裂が疑われます。

画像所見

レントゲン検査では、骨頭と肩峰の間が狭くなりますがレントゲンは、骨を中心とした検査なので、腱(腱板)はレントゲンには写りません。
腱板を画像的にチェックするには超音波エコーやMRIで診ることができます。



MRI検査では、高信号領域(白い部位)が腱板部に確認できます。



エコー画像では、断裂部が確認できます。

治療方法

保存療法

急性外傷の場合は、1週間~2週間三角巾で安静を保ちます。
保存療法により約7割が改善されると言われており、保存療法は、内服、局所麻酔剤やステロイド、ヒアルロン酸による注射や運動療法(腱板の機能訓練)を行います。

手術療法

保存療法で運動障害と肩関節痛が改善しない場合は、手術療法を行います。
手術は、一般的には低侵襲な関節鏡視下手術が行われ術後は、リハビリテーションを2ヶ月間~
3ヶ月間行います。

腱板損傷の手術のリスク

しかしながら、せっかく手術を行なったにも関わらず術後再断裂したり、なかには50肩と思い
腱板損傷を放置した結果、損傷部位が広がり完全断裂に移行してしまい手術が困難となってしまう方や、どうしても肩のあがらない腱板断裂症性変形性肩関節症ではリバース型人工関節置換術
(反転型人工関節置換術)になってしまうこともあります。

肩腱板断裂に対する再生医療とは?

痛みで日常生活が困難になり、腕が上がりにくくなると手術をしなくてはいけませんが、実際の
ところ、肩が痛くても日常生活が可能であれば、多くの患者さんは手術をためらうかと思います。また、手術となると入院や術後のリハビリも長期間必要となってしまいます。さらには、腱板の
手術をしても再断裂の危険性も伴い術前よりも痛みが強くなったり、腕が上がりにくくなる事も
あります。
そこで、手術をしない新たな選択肢としての幹細胞治療がございます。

幹細胞による腱板の再生医療により痛みが軽快し、腱板の再生が可能となったという報告例も
あります。

もちろん治療効果に個人差はありますが、痛みが軽減しますし、何よりも日常生活をしながら
治療することができるのも大きなメリットです。

サイレントマニピュレーション(非観血的関節受動術)

サイレントマニュピレーションに関して

凍結肩(肩関節拘縮)
関節の動きが悪くなることを関節の拘縮と言います。
リハビリでも改善できない強い関節拘縮にはマニピュレーションという全身麻酔下で入院が
必要となる手術を行いますが、当院では『サイレントマニピュレーション』というエコーによる
局所麻酔を行い、メスを使わずに癒着した組織を徒手的に剥離する治療法を日帰りで行うことが
出来ます。
また、五十肩でリハビリが思うようにいかない関節の拘縮に対しても有効な治療法を行って
おります。ご相談ください。

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